捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
いよいよ昌也が出勤の日。
昌也は月曜と木曜の午前担当とのこと。

月曜と木曜ね!
よし、私は率先して外回りに付くことにしよう。

初日の朝、外来で昌也からの挨拶があった。

相変わらず昌也はイケメン…やっぱり智也は昌也に似ている。
2年前に比べ精悍な顔立ちになっていた。

スタッフはどんどん挨拶して行く。
私は視線を落とし、「中山です。よろしくお願いします。」とだけ小さな声で挨拶した。

俯いていたため昌也の表情はみえなかった。


午前の患者さんが来始めるため私は待合室に出て声をかける。

診察室の中にいないようにするため、率先して外回りに出た。

外来の案内や検査の説明、入院の説明など細々とした説明をこなして行く。

あっという間に午前診療がおわった。

休憩時間になり、私は即座に外来を離れ人の少ない屋上へ向かった。
万が一でも食堂で会いたくないから。

持ってきたおにぎりを食べ始めた。

あ〜、やっと一息ついた。

極力会わないように、接点を持たないようにと気をつけた。

お陰でどうにか今日は逃げ切れた。

次は木曜の午前中かぁ。
辞めるまであと3回。

この分だとなんとかなるかしら。
疲れるけど、昌也とはもう話したくない。

午後は昌也がいないので私はいつも通りの業務にあたった。

時短のため16時になると智也を迎えに行き、家へ帰るとヘトヘトだった。
肉体的にではなく精神的に疲れた…。

「ともくーん!ママを癒してちょうだいよ。」

私が智也の前に頭を出すと、智也は私の頭をペチペチ叩く。

「まー、まー、まんまんまんまん」

「はいはい。お腹すいたのね。」

「まんまんまんまん…」

智也をぎゅーっと抱きしめ、私は智也のご飯を作り始めた。

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