捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています

昌也side

やっとの思いで俺はボストンでの研修を終え、帰国した。

3年はかかると言われていたが、それこそ寝るまま惜しんで勉強してきた。
呼ばれればすぐにオペに入り、手技を磨いてきた。

ボストンについてすぐスマホを盗まれ、俺は途方に暮れた。

が、すぐに仕事が始まり新しい携帯は病院から渡された緊急呼び出しのもののみ。

自分の携帯を買いに行けたのは1ヶ月が経ってからだった。

クラウドにあげていたはずのデータがうまく移行できず千佳の連絡先が消えていた。

一度病院に連絡がしたが千佳は休みの日だった。

オープンな付き合いでなかったため何度も病院にかけ千佳に連絡を取るわけにも行かなかった。
すでにボストンにいる俺が何の用事なんだと探られ、千佳に迷惑をかけるわけにはいかないと思った。

どうしたら千佳と連絡が取れるか悩んだ…。

でもそうしている間にも病院からの連絡が入り、俺はオペに入り続けた。

心臓外科としては権威のある医師のもとで毎日のオペ。そこに飛び込みのオペまで入ると俺は心身ともに疲れ、部屋に戻っては寝るだけの生活だった。

もちろん千佳のことを忘れたことなんてない。

でも…忙しさにかまけてしまった。

待たされている側のことを疎かにしてしまった。

日本に帰国できるチャンスもなく、また連絡手段を思いつかず2年が経過してしまった。

それでも俺は千佳と繋がっていると思っていた。

待ってていてくれると思っていた。

でも千佳は子供を抱いていた。
よく見えなかったが小さかったように思う。

千佳に、俺のことは過去のことだと言われた。
スマホをなくしても連絡手段はあったはずだ、と。
もう話したくないと言われた。

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