捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
彼は外科部長から声をかけられ、心臓外科の権威がいるボストンの大学病院へ研修に行かないか、と誘われた。

心臓外科医としてこんな名誉なことはない。
簡単にいける話ではない。
行きたいと思っても行けるものでもない。

彼の未来にそれだけの期待をかけられているということだ。

彼は勉強してきたい、と私に言った。
私は27歳。
まだ私も看護師として働きたい。
そんな前向きな発言にお互い頷き合った。

彼はボストンに行く前「必ず千佳のところに戻ってくるから待ってて」と言った。

成田まで見送る私に小さな声で、
「戻ってきたら結婚して。」
といい、ダイヤの指輪を恥ずかしそうに渡してくれた。

私は何も言えなくなり、泣きながら、うん、うんと頷くことしかできなかった。

彼にぎゅっと抱きついてしばらく離れられなかった。

「向こうに着いたら連絡するから。俺、マメじゃないけど千佳のこといつも大事に思ってるから。」

「うん。頑張ってきて。大好きだから…。」

あまり感情表現の得意でない私がやっと言えた「好き」と言う言葉。

それを聞いた彼は驚いた顔をしたかと思ったら破顔し、私を抱き上げた。

「ありがとう。千佳。俺も大好きだから。待ってて!」

そう言って彼はアメリカに向けて旅立っていった。


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