捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
ピンポン…

「千佳。開けて。」

玄関を開けると昌也がまた両手にビニール袋を下げている。

「昌也…悪いんだけど、もう終わりにしようよ。ううん、始めるのをやめようよ。」

「俺は嫌だ。終わりになんてしない。俺を千佳の旦那にして欲しい。智也の父親にして欲しい。」

「だからそれは無理なの。もう無理だって気がついちゃったの…。」

「俺は何度も間違ってしまうけど、唯一ブレないのは千佳への気持ちだ。これだけは絶対に間違うことはない!」

「昌也…ごめんね。私はもう頑張れない。私はもう歩き出しちゃったから。」

「なら俺も千佳のもとへ歩みを進めたらいいさ。」

「昌也。無理なの。私と昌也は変わってしまったんだよ。連絡しない間にお互いの考え方が分からなくなってしまったの。」
 
「千佳はそれでいい。俺が追いかけるから。追いかけさせて。」

「昌也…。」

「千佳。俺の気の済むようにさせてよ。俺頑張りたいから。言ったよね?俺は炭のようになかなか熱が冷めないって。」

「ごめん。」

「もう謝らないで。とりあえず中に入れてよ。智也はどうなの?」

「智也はご飯を少し食べられるようになったの。熱もだいぶ下がって来ていて、今さっき測ったら37.5℃だったの。」

「よかった。ご飯も食べられたならひとまず安心かな。」

「そうだね。昌也の炒り豆腐食べてたよ。」

「そっか。良かった。千佳も食べられた?」

「うん。炊き込みご飯も食べた。ありがとう。」

「良かったよ。」


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