捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
ふと智也に触れると熱が下がっているみたい。

体温計で見ると37℃になっている。

良かった。

「昌也、熱下がったよ。」

「そうか…頑張ったな智也も千佳も。」

「智也だよ。」

「ずっと見てた千佳も頑張ったよ。」

「智也、湿疹が見えるな。これで突発性湿疹ってわかったな。」   

「うん、そうだね。」

「智也、代わってあげられなくてごめんな。でも初めての熱だけでも大変だったのに痙攣まで経験しちゃってかわいそうだったな。」

昌也は優しい手つきで頭を撫でながら小さな声で話しかける。

私の頭も撫で、
「千佳もお疲れ様。ママは24時間ずっとだ。仕事じゃないから交代も来ない。大変だったな。頑張ったな。病院じゃないから怖かったよな。」

「うん…」
私は涙が出て来て止まらなかった。

本当に怖かった。
このまま智也が死んじゃうんじゃないかと思った。
痙攣してた時の顔が頭から離れない。
智也は私の全てなのに守れなかったら、と思ったら心配で離れられなかった。
少しも気を緩めることが出来なかった。

気が緩んでしまった…
つい昌也の前で泣いてしまった。

すると昌也が私をギュッと抱きしめてくれた。
泣き止ませるため、背中をトントンとリズム良く優しく叩いている。

私の心が落ち着いてくる。
気持ちが緩んでくる。

この2年、真帆や真帆の家族に支えられて来た。
でもやっぱりどこか、申し訳ない、頼りきれないところがあった。

自分が頑張らなきゃ、という思いが先に立ってしまっていた。

だから自分の気持ちを理解してもらえて嬉しかった。
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