捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
家族になろう
俺は久しぶりに千佳を食事に誘った。
智也を連れてファミレスにしか入ったことのない千佳は智也がおとなしくしているか心配なようだが個室にしよう、というと安心したようだ。
久しぶりの外食に千佳は喜んでいた。
今日は緊急以外コールしないようお願いしてあるのできっと大丈夫だろう。
千佳と智也を連れて夕方4時に和食のお店へ入る。
畳もあり安心だし、智也も食べられるものが多いだろうと思った。
女将には子供連れの話もしてあるので準備してくれるとのことだった。
少し格式のある門をくぐると千佳は緊張したように、
「智也が汚さないか心配なんだけど…」
と話す。
「大丈夫。女将に話したらご飯まで作ってくれるって言ってたよ。待ってるって言ってくれたから大丈夫だよ。」
俺は智也を抱き、女将に連れられて部屋へ案内された。
部屋に入ると両親がすでに到着していた。
「父さん、母さん、久しぶり!」
「きゃーっっっ!」
「母さん、静かに…。言っただろ。腰抜かすって。心臓止まるって。」
千佳は入り口で固まっている。
「千佳、入って。俺の両親だよ。」
千佳は驚きすぎてリアクションが取れずにいたが慌てて、
「中山千佳と申します。」
と挨拶してくれた。
「千佳さん。とりあえず座ってくださいな。」
父さんが声をかけると千佳は頷き、向かい合わせで腰掛けた。
俺は智也を抱いたまま座る。
智也は俺の膝の上にいたがすぐに机を伝いながら歩き始めた。
「千佳さんのお子さん?」
「はい。智也といいます。」
「母さん、俺たちの子だよ。」
「…」
「母さんはもうおばあちゃんなんだよ。父さんもおじいちゃんなんだ。」
俺がそういうと千佳が慌てて座布団から降り、頭を下げている。
「申し訳ありません。私が昌也さんに言わずに産みました。私の勝手で、どうしても産みたくて。申し訳ありません。」
畳に頭をつけ謝罪する。
「千佳!なに言ってるんだ。頭をあげて!今、父さん達に説明するから。千佳が悪いことなんて何一つないんだ!」
「千佳さん、頭を上げてください。」
「…」
「千佳!頭を下げる必要はないんだよ。」
「昌也。私たちにわかるように教えてちょうだい。」
「俺はボストンに行く前に千佳と付き合ってたんだ。うまくいってたし、俺が帰ってくるまで待っていて欲しいと約束もしていた。」
「あぁ。」
「アメリカについてすぐ携帯を盗まれただろ。忙しくてすぐに携帯を買いに行けず、さらにデータの復旧もできなかったんだ。一度病院に電話したけど千佳に繋がらなくて連絡手段が途絶えた…。俺を待っててくれるという千佳の言葉だけでそのまま連絡しないまま、忙しさにかまけて2年が過ぎてしまった。」
「あぁ。」
「実は俺がアメリカに発ったあと、千佳は妊娠がわかったんだ。けどいくら俺にメールしても電話しても繋がらなくて…でも千佳は俺との子供を産んでくれたんだ。俺に捨てられたのかもしれないと思っていたのに産んでくれたんだ。もちろん俺は千佳を捨てたつもりなんてない。だから3年かかると言われたのに必死で2年で終わらせてきたんだ。」
「だが、結果として千佳さんには苦労をさせたんだな…。」
「あぁ。千佳は1人で育てるつもりでこの子を産んで育てていた。俺が帰国してからも千佳は子供を産んだことを言ってこなかった。それどころか俺に捨てられたと思ってたから離れるため仕事も辞めたんだ。」
「なんてことだ…。お前はよく2年も千佳さんに連絡もとらずにいたもんだ。千佳さんを他の人に取られると思わなかったのか?」
「思いもしなかったんだ。俺たちなら大丈夫ってたかをくくってた。」
「でもそのせいでしなくてもいい苦労を千佳さんはしてきたんだな。」
「あぁ。本当に申し訳なかったと思ってる。」
「すみません。私は昌也さんと連絡が取れなくなり捨てられたんだと思っていたにもかかわらず、昌也さんとの子供が嬉しくて産んだんです。私だけの子供として産み、育てようと思っていました。だから責任は全て私にあります。申し訳ありませんでした。私にはこの子しか家族はいません。どうか私から取り上げないでください。」
「千佳!そんなことするわけないだろ。そんなために2人に会わせたんじゃない!」
「千佳さん。何か勘違いされてませんか。私たちは昌也に会わせたい人がいると言われて今日来ました。昌也が結婚を考えてると聞いています。」
「…」
「でも今の話を聞いて私たちが頭を下げなければならないことがわかりました。」
お父さんが座布団から降り頭を下げる。
「息子があなたに大変な苦労を負わせてしまいました。申し訳ありませんでした。」
お母さんも同じように頭を下げる。
「やめてください。私の勝手なんです。私が彼との子を欲しくて産んだんです。」
「昌也がこの2年の間に連絡を取らずにいたせいです。1人で出産し、育てるとは並大抵の努力ではなかったと思います。そのご苦労を思うと本当に申し訳ありませんでした。」
「そんな…。」
「でも…昌也との子供を産んでくださってありがとうございます。昌也との子供を欲しいと思い、1人でも育てていくと決断してくれたからこそ今こんなに可愛い子がここにいるんですね。」
「本当ね、あなた。まさか、私たちがおじいちゃんおばあちゃんになってるなんて思わなかったわね。」
「私たちはあなたの子供を取り上げようなんて思っていません。ただ、昌也はあなたとの結婚を望んでいるようですね。」
「俺は千佳と結婚したい。千佳と一緒に人生を歩んでいきたい。」
「私は…両親が離婚していて、2人ともここ数年連絡さえとっていません。祖父母もおりません。正直昌也さんと釣り合わない家庭で育ちました。昌也さんのことは好きでも結婚となると私は釣り合いが取れません。申し訳ありません。」
「好きなのに結婚できないとか分からないよ。釣り合いってなに?」
「それは昌也のご両親が立派な方だから分からないのよ。卑屈になってるわけじゃないの。でもやっぱり代々医師の家系の昌也にはふさわしい人がいるんじゃないかな、と思うの。だから私は智也と2人で皆さんの目に触れないところで暮らします。すみませんでした。失礼します。」
私はまた深々と頭を下げた。
智也を呼ぶと私のところへ歩いてきた。
「まーまー」
「智也、おうちに帰ろう。」
智也を抱き、頭を下げ急いで部屋から出ようとした。
智也を連れてファミレスにしか入ったことのない千佳は智也がおとなしくしているか心配なようだが個室にしよう、というと安心したようだ。
久しぶりの外食に千佳は喜んでいた。
今日は緊急以外コールしないようお願いしてあるのできっと大丈夫だろう。
千佳と智也を連れて夕方4時に和食のお店へ入る。
畳もあり安心だし、智也も食べられるものが多いだろうと思った。
女将には子供連れの話もしてあるので準備してくれるとのことだった。
少し格式のある門をくぐると千佳は緊張したように、
「智也が汚さないか心配なんだけど…」
と話す。
「大丈夫。女将に話したらご飯まで作ってくれるって言ってたよ。待ってるって言ってくれたから大丈夫だよ。」
俺は智也を抱き、女将に連れられて部屋へ案内された。
部屋に入ると両親がすでに到着していた。
「父さん、母さん、久しぶり!」
「きゃーっっっ!」
「母さん、静かに…。言っただろ。腰抜かすって。心臓止まるって。」
千佳は入り口で固まっている。
「千佳、入って。俺の両親だよ。」
千佳は驚きすぎてリアクションが取れずにいたが慌てて、
「中山千佳と申します。」
と挨拶してくれた。
「千佳さん。とりあえず座ってくださいな。」
父さんが声をかけると千佳は頷き、向かい合わせで腰掛けた。
俺は智也を抱いたまま座る。
智也は俺の膝の上にいたがすぐに机を伝いながら歩き始めた。
「千佳さんのお子さん?」
「はい。智也といいます。」
「母さん、俺たちの子だよ。」
「…」
「母さんはもうおばあちゃんなんだよ。父さんもおじいちゃんなんだ。」
俺がそういうと千佳が慌てて座布団から降り、頭を下げている。
「申し訳ありません。私が昌也さんに言わずに産みました。私の勝手で、どうしても産みたくて。申し訳ありません。」
畳に頭をつけ謝罪する。
「千佳!なに言ってるんだ。頭をあげて!今、父さん達に説明するから。千佳が悪いことなんて何一つないんだ!」
「千佳さん、頭を上げてください。」
「…」
「千佳!頭を下げる必要はないんだよ。」
「昌也。私たちにわかるように教えてちょうだい。」
「俺はボストンに行く前に千佳と付き合ってたんだ。うまくいってたし、俺が帰ってくるまで待っていて欲しいと約束もしていた。」
「あぁ。」
「アメリカについてすぐ携帯を盗まれただろ。忙しくてすぐに携帯を買いに行けず、さらにデータの復旧もできなかったんだ。一度病院に電話したけど千佳に繋がらなくて連絡手段が途絶えた…。俺を待っててくれるという千佳の言葉だけでそのまま連絡しないまま、忙しさにかまけて2年が過ぎてしまった。」
「あぁ。」
「実は俺がアメリカに発ったあと、千佳は妊娠がわかったんだ。けどいくら俺にメールしても電話しても繋がらなくて…でも千佳は俺との子供を産んでくれたんだ。俺に捨てられたのかもしれないと思っていたのに産んでくれたんだ。もちろん俺は千佳を捨てたつもりなんてない。だから3年かかると言われたのに必死で2年で終わらせてきたんだ。」
「だが、結果として千佳さんには苦労をさせたんだな…。」
「あぁ。千佳は1人で育てるつもりでこの子を産んで育てていた。俺が帰国してからも千佳は子供を産んだことを言ってこなかった。それどころか俺に捨てられたと思ってたから離れるため仕事も辞めたんだ。」
「なんてことだ…。お前はよく2年も千佳さんに連絡もとらずにいたもんだ。千佳さんを他の人に取られると思わなかったのか?」
「思いもしなかったんだ。俺たちなら大丈夫ってたかをくくってた。」
「でもそのせいでしなくてもいい苦労を千佳さんはしてきたんだな。」
「あぁ。本当に申し訳なかったと思ってる。」
「すみません。私は昌也さんと連絡が取れなくなり捨てられたんだと思っていたにもかかわらず、昌也さんとの子供が嬉しくて産んだんです。私だけの子供として産み、育てようと思っていました。だから責任は全て私にあります。申し訳ありませんでした。私にはこの子しか家族はいません。どうか私から取り上げないでください。」
「千佳!そんなことするわけないだろ。そんなために2人に会わせたんじゃない!」
「千佳さん。何か勘違いされてませんか。私たちは昌也に会わせたい人がいると言われて今日来ました。昌也が結婚を考えてると聞いています。」
「…」
「でも今の話を聞いて私たちが頭を下げなければならないことがわかりました。」
お父さんが座布団から降り頭を下げる。
「息子があなたに大変な苦労を負わせてしまいました。申し訳ありませんでした。」
お母さんも同じように頭を下げる。
「やめてください。私の勝手なんです。私が彼との子を欲しくて産んだんです。」
「昌也がこの2年の間に連絡を取らずにいたせいです。1人で出産し、育てるとは並大抵の努力ではなかったと思います。そのご苦労を思うと本当に申し訳ありませんでした。」
「そんな…。」
「でも…昌也との子供を産んでくださってありがとうございます。昌也との子供を欲しいと思い、1人でも育てていくと決断してくれたからこそ今こんなに可愛い子がここにいるんですね。」
「本当ね、あなた。まさか、私たちがおじいちゃんおばあちゃんになってるなんて思わなかったわね。」
「私たちはあなたの子供を取り上げようなんて思っていません。ただ、昌也はあなたとの結婚を望んでいるようですね。」
「俺は千佳と結婚したい。千佳と一緒に人生を歩んでいきたい。」
「私は…両親が離婚していて、2人ともここ数年連絡さえとっていません。祖父母もおりません。正直昌也さんと釣り合わない家庭で育ちました。昌也さんのことは好きでも結婚となると私は釣り合いが取れません。申し訳ありません。」
「好きなのに結婚できないとか分からないよ。釣り合いってなに?」
「それは昌也のご両親が立派な方だから分からないのよ。卑屈になってるわけじゃないの。でもやっぱり代々医師の家系の昌也にはふさわしい人がいるんじゃないかな、と思うの。だから私は智也と2人で皆さんの目に触れないところで暮らします。すみませんでした。失礼します。」
私はまた深々と頭を下げた。
智也を呼ぶと私のところへ歩いてきた。
「まーまー」
「智也、おうちに帰ろう。」
智也を抱き、頭を下げ急いで部屋から出ようとした。