捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
「じゃ、千佳。俺たちもデートしよう!」

「いいのかな?」

「いいに決まってる!困ったら連絡くるさ。」

「うん…」

「俺と2人だとダメなの?」

「そう言うんじゃないけど…。」

「さぁ、千佳。行こう。」

昌也は私の手を握る。
久しぶりの昌也の手にドキッとしてしまった。

それが伝わったのか昌也が私の顔を覗き込んでくる。

「千佳。久しぶりだな、こういうの。っていうか外でこんなふうに手を繋いで歩くのは初めてかもな。」

「そうかも…。家とか近所が多かったもんね。」

「ごめんな、これからはいろんなところに行こうな。」

「うん…」

昌也は私の手を絡めるように握ってきた。
昌也の手は節がしっかりしており器用そうな指だ。

手を繋いで歩くなんて信じられない。

昌也と2人、ブラブラと散策した。

明日帰ってしまう昌也の両親へのお土産も買った。

近くのカフェでお茶もした。
半個室のようなお互い少し隠れるような造りの席でソファになっていた。隣同士くっついて座り、まるで付き合いたてのようにドキドキする。

昌也は人目を忍んでサッとキスをしてくる。

小さな声で「千佳、愛してる」と耳元で言われる。

私の胸はグッと掴まれるように切ないような苦しいような気持ちになる。

昌也は私の手を握り、こっそり耳元にも首筋にもキスをする。

私も小さな声で「昌也、大好きなの。」と言う。

昌也は嬉しそうに笑ってくれる。

私たちこんな風に言い合ったことなかったよね。

言葉って大事だね。

胸が暖かくなるんだね。
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