出会いの“キセキ”
「……え…?」
言葉にならなかった。
時間が止まったかのように
ただ、“子供”という響きだけが
頭に残った。
『生理が遅かったのっ…ひっく…
そしたらねっ今日…
つわりが…』
つわり…
聞き慣れない言葉に私まで涙が出てきた。
『妊娠検査薬…友達が
買って持ってきてくれて…っ
さっきトイレで計ったら…
陽性…線が出たの…っ』
「マサトさんは…?」
『言えないよ…
マサト前期選抜でサッカー名門校
に入ろうとしてるってゆうのに
こんなことっっ……』
「言わない分には解決しないよ…」
『今…カズキと一緒?』
「うん…」
『2人ででも良いから
来て…お願い…』
電話を切り終えると
カズキさんが不思議そうな顔をしていた。
いきなり私が泣いたりしたからだよね…
「カズキさん…
お姉ちゃんの所に一緒に来てくれますか?」
「えっアンズ…?」
私は黙ってうなずいた。
「分かった」
私たちは誰もいない
グラウンドのトイレへ向かった。
行く途中に、すべての事を
カズキさんに話した。
「……そうだったんだ…」
「はい…すいません
カズキさんの事巻き込んじゃって」
「いいよ
ミアビと居れれば」
トイレの前に行くと
お姉ちゃんが泣きながらしゃがみこんでいた。
その隣にはさっきの他中の人もいた。
「気遣ってくれてありがとう…」
「ううん。いつでも頼って?
じゃ、あとお願いします」
私たちにもそう言うと
その他中の人は校舎へ入って行った。