東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
朝を迎えていた。
東京。

飛鳥は、自宅だった。
自身のチャクラによる回復術と、真琴の龍王院流の治癒療法により、体力は大分回復していた。
左肩はまだ痛むが、右手を主体にした格闘ならなんとかなるだろうと思っていた。遥には、連絡していなかった。
激闘の後であると気遣ったのだ。したがって、霧華失踪の件はまだ知らない。

真琴も東京入りして、ホテルにて朝を迎えた。
柊一も東京に来ているのは知っていたが、思いがけない告白の気恥ずかしさから連絡はしてなかった。
今日、何処かで顔を合わせるだろう事を考え、どんな風に接したものかと思案した。
真琴もまた、霧華失踪は知らずにいた。

遥は、スッキリした気持ちで朝を迎えていた。
伊號丸との関係と謎が解明したからである。
姉・霧華の姿がない事は昏い影として、心に沈んでいた。
まずは伽藍学園へ向かおうと思っていた。

無敵丸家。
“書院”が管理する禁忌書物を守る為の家系である。
宗家は西日本、現在は福岡に拠点を置いていた。
現当主、無敵丸剛太。
分家は北日本、岩手に拠点を置いていた。分家当主は、無敵丸甲児。
もう2人しか居なかった。
宗家と分家には、強い隔りがあった。
この職種の総本山であるので、根本にあるものは同じである。
親の代まではそうだった。
実際、キラーズ・コードが出る事も何十年もなかったのである。
その間、有事の際はどう対処しようという、妄想にも近い思慮はあったのだ。
そこに向かう姿勢に違いがあったのだ。
だから今回も互いには連絡を取らずに、各々で行動していた。
朝を迎え、それぞれ行動を開始した。









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