甘々顔KING総長様と地味顔女子
「で、」

「へ?で?」

「なんで昨日は帰っちゃったんですかぁ?」
と、先程の痛い質問をしてきた。
でも、この状況じゃ、逃げきれっこない。

観念した私は
「昨日は、本当にごめんなさ、ごめん。なんか怖くなっちゃって。」
「え?なんで?」
「なんでって、その、お兄様がそんなすごい人だとは思っていなくて、それなのに私ってばおごってもらったり、失礼な態度とかとって、それで仕返しとかされるんじゃないかと思って・・逃げました。」
正直な気持ちを言った。

「ふふ♪」
え?笑った?笑われた?
「ホント、まゆさんって面白い。」
「え・・」だから笑われたんですか?
「仕返しなんてしないよ、お兄ちゃんも私達も」
「え、」
「大体、女の子には暴力振るわないもん。ね、慧」
さくらちゃんはキッチンに居る慧って子に振る。
「ああ。亜弥さんの言いつけだからな」
慧って子はこっちも見ずにそう言った。
あ・・じゃ、彼がさっき言ってた『女、殴るの禁止』っていうのは総長さんが命令してたってコト?
「え?じゃ、なんで、私に会いに来たの?」
そうだ、そこだ!

「昨日も言ったでしょ?、お兄ちゃんが変な顔していたって」
「あ、うん」 確かに、甘々な変顔ってどんなん?って思った。
「それで、おウチに着いた時に、聞いてみたの」
「はぁ」
「そしたら、まゆさんの顔の事・・」
「か、」顔??お兄様の変顔の原因は、私の顔?あまりに貧相な顔つきに同じ人類とは思えなかった??!とか?

「すっぴんってあんなもん?って」
「へ?」
「私にもすっぴんでいれば?とまで言われたんだ~」
「へえっ?!」
「私はお化粧好きだからしているケド、お兄ちゃんは元々、化粧嫌いなんだ。」
そう言って少し俯くさくらちゃん。
なんか、いつもと雰囲気が・・
でも、とりあえず、私の顔の質の悪さが原因で変顔してたんじゃ無くてよかった。

「お兄さんってそんなにすっぴんが珍しかったんだ」
そっちの方が珍しいよ。ウチなんか、お母さんもいつもすっぴんだし、私の友達だって化粧っ気なんてほとんど無い。すっぴんの人なんて周りにいっぱいいるのに。
「お兄ちゃんの周りに居る女の人はみんなお化粧してるから。」
ほ?
あ、ああそうか。私みたいな庶民とは周りの環境も違っているんだ!
一緒にして申し訳ありませんっ、

「だから私、お兄ちゃんがそう言った相手の顔が気になっちゃって。まゆさんに会いにいっちゃった♪」
あ。「ああ・・そうだったんだ」
そういう事か、それで会いに・・
「でも、」
ん?
「会ってしゃべってみたら、私もまゆさんに興味わいちゃって♪」
「へ?」
「もっと仲良くなりたいなぁ~って思って♪」
「な、」な、んですか?それは! 趣旨がっ、イミがっ、
「ダメですか?」
はう!//そんな可愛い顔を、下から覗き込んでこないで~~~
バリン!
「え?」
今、なにか壊れる・・割れるよーな音が・・
その音はキッチンの方からで、
ダラダラ・・って血が・・―――って!!?は??!!
「血っ!?」
「ちっ!」
いやいやそこダジャレじゃなくて~~
キッチンに立っていた慧って子の右手から血がダラダラと流れている。
その周りには、破片?
「もぉ、なにやってんのよー慧、」
そんな状態の慧って子の側へ走り寄って行くさくらちゃん。
「ああ。悪ィ、さくら。グラス割っちまった。」

「手、見せてみて」
私もさくらちゃんの後に続いて慧って子の側まで来ていた。

「あ?」
私の言葉に、怪訝な顔をみせる慧って子。
でも、今はそんな事言ってらんない。
血だらけになっている手をゆっくりと開かせ傷を負った箇所を確認する。
3か所ほどの傷口、幸い、手の平のみの負傷、
血の量に反して、そんなに傷口は深くなさそう。
グラスの破片を見る限り、細かくは割れなかったみたいで、傷口を良く見ても破片らしき物はささっていない。
「さくらちゃん、消毒液ある?あるなら持ってきて」と指示をだした。
「えっ?あ、うん、すぐ持ってくる」
私の言葉に慌てて立ち上がり、リビングの奥にある机へと走って行くさくらちゃん。
その間、とりあえず、慧って子の手を心臓よりも上にあげさせ、ポケットからハンカチを出し傷口を押さえた。
「っ、」
傷口を強く押された為か、慧って子の顔は一瞬、苦痛の表情をみせた。
消毒液を持ってきたさくらちゃんからソレを受け取るとハンカチをどけて、
傷口にいきおいよく吹きかける。
「つっ」またしても慧って子の表情が歪む。
「ガーゼと、包帯もお願いしたいんだけど」
次に私はさくらちゃんに指示を出した。
「あ、はい!」そう言って今度は、別室へと走って行った。
救急箱を手に持って戻ってきたさくらちゃんは、横に立って、箱からガーゼと包帯を取り出してくれた。
先にガーゼを取り、傷口にあて、その箇所をグルグルと包帯で巻き、なんとか応急措置ぐらいはできた。
「ふぅ。」とため息をついた私。
の側でキラキラ目を向けてくるさくらちゃん  ?
怪我した張本人もなんやら不思議な顔付きで私を見てる。  ?

「まゆさん!すっごーい!看護師さんみたい!!」
「え?」と?
「なになに?ホントはお医者さんだったり~」

つい、体がうごいてしまっただけの行為をさくらちゃんはとても褒めたたえてくれている。
ウチのお母さんは看護師をしている、それで、私も応急処置位の事ぐらいは教えられていた。
それがこんな形で役にたつとは・・ってただそれだけなんだケド。
「ほら、慧もお礼言って!」
さくらちゃんに促され、慧って子は
「サンキュ。」と小さく呟いた。
あ。
・・なんだか・・嬉し
たったこれだけの事をしただけなのに、こんな風にお礼言われるなんて。
お母さんが看護師になった理由が少しわかった気がした。

「あ、でもあくまで、応急処置だから後からちゃんと病院に行ってね。」
「うす。」
わ!珍しく素直に返答してくれた!

ふわ。
え?
顔のすぐ近くで甘い香り・・香水?
見ようと顔を少し向けた瞬間固まった。
う、動けない。これ以上、Ⅰミリたりとも動いちゃダメだ。
なぜなら、
か、顔のすぐ横には金色の髪と
あ、・・あの、甘々な顔・・

ひ―――!!///
総長っ??!/なぜそこに??なんでこんな近くに?てか、いつ?いつのまに居たのっ?!あ、そうか!ここは総長様のお家でもあるんだったっ!

「これお前が手当したの?」
その距離で、顔と同じ甘さの声を出された、
はぁう///
「ちょっと!お兄ちゃん近すぎっ!まゆさんは私のなんだから離れて!」
その言葉とともにその位置から一気にさくらちゃんの腕の中へ移動させられていた。
た、助かったの?私。

「私のって、物じゃないんだから。」
甘々な顔があきれ顔で言う。(もはや、名前は無しか!
「いいの!」
えー私の意見はー・・
「はいはい。じゃ、慧、行くぞ」
そう言った総長様は慧って子の腕を掴む。
登場したと思ったら、もう退場ですかっ?!!
「あ、あの。」
そう思ったらつい、声が出てしまってた。
「ん?」優しい声で私を見る総長様。
しまった!なんで呼び止めたんだろう、えと、そうだ、
「その、彼、怪我してるんで・・」
と、言いかけたトコで「だから、これから病院へ連れて行く」と。
あ。そうだったんだ。
そうとは知らず呼び止めちゃって悪かったかな。
「こいつの手当サンキュな。」甘々な笑顔炸裂で言われたその言葉にクラクラッ
その体を支えてくれたのはさくらちゃんで。
「いってら~」こちらも満面の笑みでお見送りしてる。
う、美しすぎる!!ここんち、みんな美しすぎるっ!!
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