ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド この世の果て
 わたしは鞄の持ち手を握りしめ、もう一方の手で傘を持つと、彼のほうを向いた。
 送ってもらったお礼を言おうと。
 でもわたしより先に、シド兄が話しはじめた。
「そういえばもうすぐだっけ。誕生日」
「えっ、なんで知ってるの?」
「いや、前にさそり座って言ってたから」

 嘘! そんな話、覚えててくれたんだ。

「うん、11月16日。えっ、シド兄、なんかプレゼントくれるの?」
「ああ、考えとく」
「やった!」
 わたしは思いっきり目を見開いて、子供みたいに喜びをあらわにした。
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