ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド この世の果て
 そしてようやく、これ以上ないほど楽しみにしていた日を迎えた。
 シド兄の車に乗っている間中、これからどこに連れて行かれるんだろうかと、ドキドキしていた。

 着いたところは都内の石神井公園。
 実は、知る人ぞ知る、天体観測の穴場なのだそうだ。

「たまにひとりで来るんだ。ぼーっと夜空を眺めていると心がリセットされるというか、疲れが抜けていく気がして」
 園内の池を目指して歩きながら、シド兄が教えてくれた。

 ニュースで騒いでいただけあって、夜の公園とは思えないほど多くの人がいた。
 でも、かえってほっとした。
 誰もいないようなところでふたりきりなんて、そわそわしすぎて普通でいられなくなってしまうところだった。

 ようやく場所を見つけて、用意してきたラグを敷き、並んで座った。
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