ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド この世の果て
 触れあった箇所から、彼の体温とともに優しさが伝わってくる。
 心臓が飛びだすんじゃないかと思うほど高鳴った。
 そして、なぜかわからないけれど、涙が出そうになった。
 
「シド兄」
「うん?」
 もう、こらえきれなかった。
「好き」
 少しの沈黙の後、シド兄は言った。
「おれも」
 
 肩に添えられていた彼の手に力がこもる。 
「エイミー……」
 囁かれ、わたしは目を閉じた。

 そっと重ねられた唇から、ほのかにコーヒーが香った。
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