ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド この世の果て
第4章 反転
 12月になった。

 わたしはこれまでどおり、学校帰りにほぼ毎日『オレアンダ』に通った。

 あの夜、帰りの車で話し合ったように、わたしとシド兄はまだ恋人らしい付き合いはしていなかった。
 それでも、片思いのときから比べれば、格段の進歩だ。
 コーヒーを飲み、他愛ない話をし、眼差しをかわすだけでも、心は満ち足りた。
 それに電話番号を教えてもらったので、話したいときはいつでも話ができるようになったし。

 『オレアンダ』では毎年、大晦日にカウントダウン・ライブを行っていた。
 著名なミュージシャンがシークレット出演することで有名になり、最近は予約で席が埋まるほどの人気だった。
 
 中3になってから、その日はわたしも店を手伝っていた。
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