JOKER -東京の片隅で愛を探して-
「……すみません、こんなところに座り込んでもらうと迷惑なんですけど。
営業妨害っすか?」
申し訳なさそうに、でもおどけた表情でそう言ってのけた。
私はやっと店の真正面に座り込んでいたことに気が付いた。
よく見ると、派手な看板には
<ホストクラブ JOKER>
と書かれていた。
「ジョーカー……」
……派手な店。
いかにもホストクラブという感じだ。
「あ、どうぞ中へ」
「いや……私、お金持ってないんで……」
「そっ……か。
あ、これ俺の名刺」
しゃがんで名刺を渡される。
手渡された名刺を見ると「JIN」と書かれていた。
「じん…?」
「俺たいてい店いるから……来たくなったらいつでもおいで」
「……はあ」