JOKER -東京の片隅で愛を探して-
015 エピローグ
彼に言われた通り、私は素直に帰省することにした。
自分の中では、とっくに捨てたはずの田舎。
また戻るなんて、どんな顔をして会えばいいのか分からなくて居心地が悪かった。
大きな荷物を抱えて、自宅のチャイムをピンポーンと鳴らした。
「未来……!?」
すると、中から驚いた様子の母親が出てきた。
なんて言われてもおかしくないと覚悟はしていたつもりだった。
「おかえりなさい」
でも、想像とは裏腹に、母親は私のことを温かく迎え入れてくれた。
私は「今まで、ごめんなさい」と小さくなって謝った。
「……いいから入りなさい」
そう母親に促されて、一歩、自宅へと足を踏み入れた。
なんだか、ひどく懐かしい匂いがした。