JOKER -東京の片隅で愛を探して-


母親と父親を目の前にして、これまでのことをひと通り話した。



黙って家を出たこと、心配を掛けてごめんなさいということを伝えた。





それから、東京で働きながら生活をしていたこと。



正直、両親にこうして面と向かって話すのはすごく勇気がいったことだった。



昔は親と向き合うことを避け続けてきたけれど、改めて自分の意見を伝えてみると、案外きちんと私の話に耳を傾けてくれることも分かった。



あの頃の私は、一方的に嫌なことから目を背けて、ただ逃げ続けていただけなのかもしれない。



でも、それも全部、彼に出会って、迅が教えてくれたからだ。


私が変わるきっかけをくれた人。



最初は理解こそしてくれなかったけれど、今の自分の思いを伝えてみると、徐々に受け入れてくれるようになった。


時間が経ち、距離を置くことによって、お互いに大人になれたのかもしれない。





< 142 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop