JOKER -東京の片隅で愛を探して-
それから暫く実家でボーっとした日々を過ごしていた。
「これからどうしよっかなぁ……」
一人、部屋で呟いた。
頭の片隅では、彼のことが忘れられなかった。
今でも、あれは夢だったのではないかと錯覚してしまうほど。
彼の存在が忘れられなかったし、今でも会いたいとすら何度も思った。
……迅は私のことを少しでも思ってくれているかどうかなんてわからないけれど。
彼と出会った夜のこと、突然働くことになった出来事、一緒に屋根の下で暮らした日々のこと、あの日海で見た綺麗な朝焼け。
簡単に消すことなんてできなかったし、今でも忘れたくなかった。
出会った時、最初は信用なんてしていなかったけれど、結果的に私に愛を教えてくれた存在だった。
私は結局、夜働くことしかできない気がしていた。
完全に彼のことを忘れられなくて、地元の小さなクラブで働くことになった。
でも、東京に比べるとなんだか物足りなくなって、再び上京することを視野に入れ始めた。