JOKER -東京の片隅で愛を探して-


「先、入って?」



「……未来ちゃんは?入らないの?」



「入るよ?……でも、先入ってて?私、おじさんが入ってる途中に入るから」



意味ありげにそう言うと、彼は照れたように素直に応じてくれた。



「そっか……。分かった、早く来てね?」



「うん!」




とびっきりの笑顔を振り舞いた。











ザァー……ッ




「……♪」




シャワー室からは、呑気な鼻唄が聞こえてくる。






よし、おっさんがシャワーしてる間に金だけ抜き取って……。






鞄、どこだろう?








……あ、あった!


鞄を見つけ、すぐさま中を探り、財布を探す。






「…………」




ない。





財布だけ。





……なんで?









< 15 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop