JOKER -東京の片隅で愛を探して-
「おじさーん!ちょっと待っててねー?今、準備してるから!」
なるべく声を高く上げながら、そう言って部屋の扉を閉めた。
━━━‥‥
「はあっ、はあ……」
私は走ってホテルを出た。
「焦ったぁー」
“逃げちゃダメだよ?”
なんて言われた時、心臓止まるかと思ったもん…。
……でも、上手くいって良かった。
あのおっさんも単純じゃん?
私は鞄の中からおっさんの財布を取り出して中身を確かめる。
「う、わっ!」
財布の中を見てびっくりする。
だって諭吉がいっぱい……。
分厚い束になって、ぎっしりと詰まっていた。
あのおっさん、金持ちだったんだ……。
……私、もしかして結構危ないことしてる?
10万くれたらヤってもいいとか言いながら、ヤってもいないのにこんな…。