JOKER -東京の片隅で愛を探して-
自宅にて、キッチンに立つ母親に私は意を決して話し掛けた。
「ねぇ、お母さん……」
「えー?今ちょっと忙しいのよ。それより……あなた、大丈夫なの?」
「……なにが?」
「この間担任の先生から電話があってね、このままじゃ進級もできないかもって先生言ってらしたわよ?」
「……そう」
昔からそうだ。私の話なんて、ろくに聞いてくれないくせに、こういうことばかり言ってくる。
ちょっとは私の話聞いてくれてもいいじゃん……。