JOKER -東京の片隅で愛を探して-
001 東京
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ついに、憧れの東京へと着いた。
でも、急に東京へ来たからといって行くあてがある訳でもなく、私は一人で街を彷徨っていた。
田舎から出てきた私は、都会の人の多さに圧倒された。
しばらく辺りを歩いてみたものの、土地勘が全く分からず、どこへ向かえばいいのかさえ分からなかった。
次第に歩き疲れて、近くの駅前で座り込んだ。
「はあー……」
田舎とは比べものにならないほど沢山の人達が行き交っている大きな駅は、仕事帰りのサラリーマンやOLの姿で溢れていた。
でも、こうして傍から見ていると、みんな同じような恰好のスーツに身を包んで、酷く疲れきった顔をしている。
まるで、仮面をつけた大人たちだ。
私も、働いたらあんな風になっちゃうのかな……。
でも、あんな大人にはなりたくないな、とさえ思ってしまった。