√セッテン
「でも、急に待ち受けがホラー画像とかなってたら、ビビらね?怖ぇよな、俺、一応画像落としとこうかな」

「ディズニーランドのお化け屋敷でヒーヒー言う奴は、やっといた方がいいかもな」

「嫌味だな、黒沢……」

「どうも」

「褒めてない、褒めてない。でさぁ」

河田は、やっと本題に入ったと言わんばかりに俺の所へやってくる。

「山岸さんからは何だって?昼の奴、あれ呼んだの山岸さんっしょ?」

どこからそういう情報を手に入れてくるんだろう、こいつは。

「好きな奴いるかって聞かれた」

河田は銃に打たれた素振りをして、バーの床に膝をついた。

「山岸ちゃん……お前まで……」

カエサル暗殺のネタのつもりなんだろうか

「なんだよ。そのリアクション。聞かれただけだろ」

「それで、お前なんて答えたんだよ、まさか付き合うとか言うんじゃないだろうなぁ?
別に山岸さんは超美人とかいう訳じゃないから悔しくはないが、なんかムカツクぞ」

早口でまくしたてる河田。

頭の中は女のことしかないのだろう。

「好きな奴がいるから、って言ったらそっか、みたいな流れになって解散」

「うわっ、お前もっと言葉考えろよ」

「なんで」

「山岸さん、かわいそうに、絶対告白するつもりだったんだぜ?」

「知らないよそんなこと」

「相手選べよぉ、山岸さん……俺とかさッ!」

俺も友達を選ぶべきかもしれないな。

「にしてもさ、優しく言えよ。気になってる奴がいるんだ、とかぁ」

どうしてそこまでしてやる必要がある

と、言いかけて河田がうるさいから言うのを止めた。

「どうせお前の好きな奴って、アリストテレスとかユーグリットとか言うんだろ?」
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