√セッテン
「霧島…霧島…」

人差し指で机をカツカツと叩く。

何か覚えたり、思い出す時はいつもこうするクセがある。

「そうだ、千恵ちゃん、今日は待ち受けに何が表示されたの?」

敦子は考え出した俺と河田を置いて山岡に話しかけた。

山岡がケータイの画面に灯りをつけた

「手?」

「うん、手だよね、でもなんか、指先…爪が剥がれて…血が……」

「ヤバイヤバイ、ホラーだってばぁ、怖い」

敦子と山岡をよそに俺と河田は思考モード。

「爪剥がれてるっしょ?これ。こんなの撮影すること自体意味不明だよ」

「それ……」

準備室で見た、あの白い手と……同じ……

ホントにホラーかミステリーだな……

はた、と顔を上げた。

アレ、アレに載ってなかったか?

イスから立ち上がる。

このスッキリした感じは難問を解いた時と同じだ。

神経衰弱で、同じカードをめくったときのあの爽快さとも似てる。

「どうしたの?何か分かった?」

「図書室行ってくる。敦子、図書委員だったよな、雑誌の最新号、持ち出し禁止だったはずだけど、破れてお前が修繕中ってことにしろ」

「え、あ、まぁ、いいけど」

敦子を連れ、図書室へ入ってすぐの書架に手をかける。

俺が手にしたのは、サイエンス社が出している、自然科学雑誌アトランタだった。

「自然……科学雑誌?」

「そうだよ、これに死の待ち受けの特集が組まれてた。記者の名前が……たしか霧島」

霧島悠太。
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