√セッテン
ページを急いで捲る。

そう

あの夕立の日。

山岡が俺に、死の待ち受けが表示されたことを伝えてきたあの始まりの日。


俺が偶然見つけて、ここでパラ見した記事。

「あ、これだね」


『広まる恐怖!真実は闇の中、死の待ち受け画面』

特集されているページは、さほど大きくはなかった。

213ページ目のモノクロページ

「記者、霧島悠太」

「怪しいじゃん、てかビンゴかもよ。偉いっ!潤!!」

敦子は言って抱きついてきた。

「この霧島って奴、死の待ち受けについて調べてる。こいつに聞けば、俺たちが把握できてない情報を聞けるかも……」

雑誌を手に図書室を出る。

奥付の住所と電話番号を確認しながらコンピュータ室に戻る。

「なんか潤、嬉しそう」

「今まで解けなかった問題が解けると嬉しくないか?」

「え?嬉しい?私は嬉しいってか……なんだよ!そうだったんじゃん!早く言えよってなるけど」

考え方は人それぞれだが

敦子のはつまり、逆ギレか。

「潤ってさ、喜び感じるところが微妙にズレてるよね」

「これでお前、助かるかもしれないんだからお前が喜べ」

「そ、そりゃ、そーだけど!」

「嬉しいことなんて人によって違うだろ」

それにな

「答えに近づくってことは、本質を理解できるってことだ。嬉しくないか?」

俺の言葉に、敦子が止まった。

「じゃあー潤先生に問う」

夕焼けが中庭に面したガラスから差込んでくる。

敦子も全身茜色に染まっていた。
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