√セッテン
蔵持七海の、中学時代のアルバムを見た。

美人だった。

女性的というのか

ガラスの瞳が印象的だった。

ハーフなのか色素の病気だったのか、隔世遺伝なのか分らないが、吸い込まれるような瞳。

アルバムを開くと、勝手に視線が呼ばれて惹かれる。そんな魅力があった。

同じクラスには池谷美保。

中学の頃からギャルの傾向あったのか、ケバかった。

「たしかに、河田が恐れるくらいの美人だな」

「だろー、つか、こんな美人があんなホラー画像にっありえねっ」

河田は言ってアルバムのページをめくった。

隣のクラスには甘川充の写真があった。

「それで、今、蔵持七海は?」

「行方不明のまんま。警察には届け出してるらしいぜ、こりゃ、死の待ち受けで死んでるな。間違いない!」

「そっか……蔵持七海に会えれば糸口も掴めるかと思ったのにな。とりあえず霧島悠太にあたってみるか」

机の中の雑誌に手を置いて、しばらく考える。

時間がない。

「つか、明日から試験だろ? はぁー休み挟んでるってことは勉強しろってことだしー」

河田はそこまで言って、声を潜めた。

「一番ヤバイ山岡ちゃんのカウントどうなってんの」

「あと8日」

「……あと8日かよ、試験中は身動き取れないだろ?」

明日から3日間、休みを挟んで試験が始まる。

休みを使い切って調べたとして、あと3日しか余裕をもって調べる時間はないということだ。

「昨日は何表示されたって?」

「9日は足」

「足ぃ?」

「床に座って、足撮ったんだろうな、別に怖い写真じゃない。ま、誰の足だか分らなきゃ、相当怖いけどな」

「今日はまた床が写ってたんだろ?」

無言で頷いて山岡を見る。

机を合わせて、クラスの女子で弁当を食べている。

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