√セッテン
接近する心
「なに?これ……」
山岡が、声を抑えながら排水溝を見つめている。
「なんで…?」
排水溝からは、髪が伸びていた。
水が排水に流れ落ちるのと逆に
排水溝から生えるように、ゆっくりと、束になって四方へ広がっていく。
音なく広がっていくから怖い。
いっそ、やたら怖い恐怖BGMでも流れてくれた方がマシだった。
「うそ……うそ……」
『ねぇ……』
排水溝から声がする。
髪が喋るわけがない。
いや、本来排水溝が喋る訳もない。
声は意外に澄んでいた。
状況が違えば驚くこともない普通の女の声だった。
山岡を後ろへ押して、排水溝に1歩近づく。
排水溝には、はい上がるように広がる髪しか見えない。
「……」
『…出して…』
「痛ッ」
山岡の指に絡まっていた髪の毛が、左手の人差し指を締め付けた。
「なにこれ、やだ……」
山岡が必死に髪を擦り落とそうとするが、強く巻き付き、離れようとしない。
山岡が、声を抑えながら排水溝を見つめている。
「なんで…?」
排水溝からは、髪が伸びていた。
水が排水に流れ落ちるのと逆に
排水溝から生えるように、ゆっくりと、束になって四方へ広がっていく。
音なく広がっていくから怖い。
いっそ、やたら怖い恐怖BGMでも流れてくれた方がマシだった。
「うそ……うそ……」
『ねぇ……』
排水溝から声がする。
髪が喋るわけがない。
いや、本来排水溝が喋る訳もない。
声は意外に澄んでいた。
状況が違えば驚くこともない普通の女の声だった。
山岡を後ろへ押して、排水溝に1歩近づく。
排水溝には、はい上がるように広がる髪しか見えない。
「……」
『…出して…』
「痛ッ」
山岡の指に絡まっていた髪の毛が、左手の人差し指を締め付けた。
「なにこれ、やだ……」
山岡が必死に髪を擦り落とそうとするが、強く巻き付き、離れようとしない。