√セッテン
「あぁ、俺と同じクラスになりたくないなら、文系特進で申請した方がいいぞ。理系の特進は男ばっかりでお前には向かないと思うけど」

敦子が隣で苦笑した。

「それに絡んでくるなら、もう俺に絡むだけにしないと、敦子に未練タラタラにしか見えないからやめとけ」

「だめだよ、そしたらボーイズラブだって」

敦子が言って大笑いした。

「……うっせぇ!」

藤田は廊下の向こうの方へ消えて行った。

意外とつつきがいがない。


「お前、いつも大丈夫なのか?」

「え?」

「クラスで、いつもあんな調子なのか?」

消えた藤田の方を視線で示唆する。

「ないない。でもたまにね。待ち受けの件は懲りたのか言ってこないけど、潤のこと言ってくるよ。だから今日も絡んできたんだろうけど」

敦子はもうすっかり無視をして、昇降口に向かう。

「じょ、女子内で噂になってるからさ?」

「ふーん……」

何のことかよく分らないが、特に今のところ害はないのでいいとしよう。

靴を履き替えて昇降口を出ると、夏の日差しが覆い被さった。

「早く試験終わって、休みにならないかなぁ、県大会行く練習早くはじめたいし」

「あぁ…ソフトボール部な」

「森先輩いなくなちゃって……先輩たちの士気が落ちてるけど、ここで私が盛り上げなきゃ」

先輩たちはこれが最後の部活だから、と敦子は気合いを入れた。
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