√セッテン
「私、本当はすごく怖い。試験なんて投げ出して、とにかく安全だって思えるところに行きたい」
山岡はぎゅっと握りしめた両手をそのままに続けた。
「試験どうでもいいなんて、お母さんやお父さんが聞いたら怒るだろうけど、でもそれくらい不安になってる」
それは、当たり前のことだと思う。
「でも逃げずにこうやっているのは、色んなものに負けたくないから。恐怖にも、現実にも。潤も、そうなんだよね?」
「そうだな、近いかもな」
俺は……
挑まれている、と思った。
死の待ち受けが表示されたケータイを見たとき。
俺の中の何かが、死の待ち受けにそう感じたのを覚えている。
この計算を止めてみせろと、あざ笑われた気がしたのだ。
「千恵~お風呂開くよ~」
敦子の声が玄関付近から聞こえてくる。
山岡は、はっとして背後を見た。
「あ、行ってくるね、ありがとう」
山岡が廊下の奥へと消えていく。
一度、ため息をすると、俺は再び教科書へ視線を戻した。
今回の範囲は、やけに広く感じた。
広がっていく死の待ち受け
止める方法など、本当にあるんだろうか。
問題はいくつも山積みだったが、その整理は寝る前にでもしよう。
シャーペンをノートに走らせながら、頭のからっぽの部分で、ぼんやりと蔵持七海の姿を投影した。
今、蔵持七海は何を思って
何を歌っているんだろうか……
山岡はぎゅっと握りしめた両手をそのままに続けた。
「試験どうでもいいなんて、お母さんやお父さんが聞いたら怒るだろうけど、でもそれくらい不安になってる」
それは、当たり前のことだと思う。
「でも逃げずにこうやっているのは、色んなものに負けたくないから。恐怖にも、現実にも。潤も、そうなんだよね?」
「そうだな、近いかもな」
俺は……
挑まれている、と思った。
死の待ち受けが表示されたケータイを見たとき。
俺の中の何かが、死の待ち受けにそう感じたのを覚えている。
この計算を止めてみせろと、あざ笑われた気がしたのだ。
「千恵~お風呂開くよ~」
敦子の声が玄関付近から聞こえてくる。
山岡は、はっとして背後を見た。
「あ、行ってくるね、ありがとう」
山岡が廊下の奥へと消えていく。
一度、ため息をすると、俺は再び教科書へ視線を戻した。
今回の範囲は、やけに広く感じた。
広がっていく死の待ち受け
止める方法など、本当にあるんだろうか。
問題はいくつも山積みだったが、その整理は寝る前にでもしよう。
シャーペンをノートに走らせながら、頭のからっぽの部分で、ぼんやりと蔵持七海の姿を投影した。
今、蔵持七海は何を思って
何を歌っているんだろうか……