√セッテン
壊れんばかりにケータイを握りしめる。

ただ、呼び出し音だけが耳元で鳴り続ける。

だめだ

電話なんかじゃ

会いにいかなきゃ、話にならない。

敦子に聞いても、山岡のことを知っているとは限らない。

山岡の家……この前、家の前まで送った。大丈夫だ覚えてる。

駅前の大通りにぶつかると、電話が鳴った。


.....♪.♪.♪..♪


敦子だ。


『潤?どうしたの? 私に電話しちゃだめだよ』

俺は走りながら、敦子の声で鼓膜を震わせる。

『……どしたの?走ってるの?』

「敦子! お前今、どこにいる!」

『い、家だよ……』

俺の剣幕に、敦子の声が少し低くなった。

「試験、どうしたんだよ、朝は学校いただろ?」

『いいじゃん、気分悪くなったから、帰ったんだよ』

「帰るなら言えよ! 心配するだろ。家、1人じゃないだろうな!? 山岡といい、お前といい……! 何なんだよ」

思わず声を上げると、電話越しに敦子が黙った。

『潤、今どこ?』

「学校前の大通りのとこだよ、これから駅に行く」

『駅?ライブハウス探索なら、私も行くよ』

「違う、山岡の家だ。お前、何か知らないか?山岡のこと……」

『千恵……何か、言ったの?』

「とにかく、山岡放っておけないだろ、今から家に行く」

『待って』

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