√セッテン
「……私が潤に甘えるのを、やめればいいだけ、でも」
敦子は額を抱えるようにして、少し前に傾いた。
「………本当に、私……好きなんだよ」
「本人を前に、お前もよく言うよな」
「だって、潤は何度も言った方がイイって、経験上知ってますから」
洗脳ということなんだろうか。
言い返せないまま、敦子を見つめた。
「不器用でさ、でも器用なとこはすこぶる器用で、本当に、そんなとこ大好き」
敦子は、病院の白い廊下を見つめていた視線をこちらに投げて、もう一度言った。
「潤のこと、大好きなんだよ」
「ありがと」
返事が思いつかずに、そう返すと、敦子は笑った。
「そうやってまた、しらっと言っちゃう、ほんと潤ってばアッサリしちゃって……」
俺にはどうにもできない
わざと他の誰かと付き合うのも変だし
冷たく突き放す理由もない。
ただ、敦子は泣かしてはいけないと、そう思う。
それが俺に出来ることだと思っていた。
「ワガママで、ごめんなさい。ほんと、ムキになると私おかしいよね。情緒不安定になりすぎてる。これも呪いかな?」
敦子はそう言って俺から視線を外した。
「飯島さん、処置室5へどうぞ」
看護師の声に応じ、敦子が立ち上がる。
敦子、と声をかけたが、敦子は振り向かない。
「病院前の、公園にいるから。処置が終わる頃には帰ってくる」
俺の言葉に、ゆっくりと無言で敦子は頷いた。
処置室に入るのを見送ってから、俺は病院から出て、病院前の公園へ向かった。
時計は午後3時を指していた。
今日はライブハウスを探索するとしても夜になるな。
霧島悠太にも、連絡をしなければ。
敦子は額を抱えるようにして、少し前に傾いた。
「………本当に、私……好きなんだよ」
「本人を前に、お前もよく言うよな」
「だって、潤は何度も言った方がイイって、経験上知ってますから」
洗脳ということなんだろうか。
言い返せないまま、敦子を見つめた。
「不器用でさ、でも器用なとこはすこぶる器用で、本当に、そんなとこ大好き」
敦子は、病院の白い廊下を見つめていた視線をこちらに投げて、もう一度言った。
「潤のこと、大好きなんだよ」
「ありがと」
返事が思いつかずに、そう返すと、敦子は笑った。
「そうやってまた、しらっと言っちゃう、ほんと潤ってばアッサリしちゃって……」
俺にはどうにもできない
わざと他の誰かと付き合うのも変だし
冷たく突き放す理由もない。
ただ、敦子は泣かしてはいけないと、そう思う。
それが俺に出来ることだと思っていた。
「ワガママで、ごめんなさい。ほんと、ムキになると私おかしいよね。情緒不安定になりすぎてる。これも呪いかな?」
敦子はそう言って俺から視線を外した。
「飯島さん、処置室5へどうぞ」
看護師の声に応じ、敦子が立ち上がる。
敦子、と声をかけたが、敦子は振り向かない。
「病院前の、公園にいるから。処置が終わる頃には帰ってくる」
俺の言葉に、ゆっくりと無言で敦子は頷いた。
処置室に入るのを見送ってから、俺は病院から出て、病院前の公園へ向かった。
時計は午後3時を指していた。
今日はライブハウスを探索するとしても夜になるな。
霧島悠太にも、連絡をしなければ。