√セッテン
「でも、唯一の手かがりと言っていいこの待ち受け画面……蔵持七海と、ライブハウス……こうやってしらみつぶししていくしか、答えには近づけないか」

「簡単に答が分る式なんてないですよ」

俺は言いながら、信号が赤から青に切り替わるのを確認する。

「根本に辿り着くためには、無駄とも言える地道な作業も必要です」

「そうだな、ただ、唯一の問題は、俺たちには時間がないってことだけだ」

「そう、そのことも考えてたんです」

堀口俊彦は、空になったダイエットペプシをコンビニのゴミ箱に入れながら、首をかしげた。

「なんで、15日なのか……不思議に思いませんか」

「死の待ち受けのカウントの話だな」

「そうです。15という数字に何の意味が? 合成数……16進法でも20進法でもF……日でいえば、2週間と、1日」

「そうだな、言われてみれば、15っていう数字の意味が不可解だ」

「15でなくてはいけない理由を探す方が難しい。ただ、誰かに死を運びたいだけなら、そもそもカウントする必要すらない、恐怖を与えるのなら、1日2日もあれば十分だ」

「実際に、カウントが終わる前に、恐怖に耐えかねて自殺したヤツだっているからな。15日ピッタリでなくてはいけない理由はない。」

「そうですよね。山岸絵里子がそうだった」

歩きながら、意識をクリアにする。

車が行きかう音も、すれ違う人たちの声も聞こえない。

「カウントして、かつ15日である必要、または理由が、どこかにあるハズなんです。仮説ならいくらでも挙げられますが、どれも仮説の域を出ない」

『死の待ち受けが表示され、カウントされることで恐怖心を煽り、錯乱・恐怖心を生ませたい』

『この待ち受けをはじめた奴にとって、15という数字が何か特別な意味があった』

どちらにも可能性はあると思うし、その両方であるとも思う。

「15日……とりあえず、15日以下はあり得るけど、15日以上は存在してないな」

「15日以上生きることは、許されない、か」

死の待ち受け、蔵持七海が助けを求めていながら、死を運ぶ

この矛盾した感情の動き、相変わらず不可解だ。
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