√セッテン
「メールにはそういう恋愛相談がずらずらと流れてるんだけど」

「そういえば、森先輩が、池谷さんのこと……甘川先輩が好きだったみたい、って言ってたよね、甘川先輩なんじゃない?」

森先輩と喫茶シャノアールで会った夜。

ムーントピックで死んだ3人の事を聞いた時に、先輩はたしかにそう言っていた。

だから、池谷美保とは顔を合わせずらいと。

「でも、甘川先輩は、森先輩や沙織がいたから……違うよね」

「甘川は最低な奴だぞ。『彼女』って名前のつく奴は、そこら中にいた」

堀口俊彦は言って目を細めた。

そういえば、堀口俊彦は甘川充に対して、良い反応はしていなかった。

「口が上手い奴だったしな、自分が楽しめればそれでいい。そう言う奴だ。景とも一度揉めた」

「へぇ、渋谷さんを挟んで三角関係?」

霧島悠太が言うと、堀口俊彦はアイスティーを勢いよく飲んで、冷笑した。

「ぶちのめしましたけどね、あんな中途半端な男に景は渡せませんから」

本当にグーで殴ったりしたんだろうな。

頭の中の想像が、妙にリアルだった。

「じゃあ、もしかしたら、甘川先輩って、沙織と、森先輩と、池谷さんの3人……とか、もっと付き合ってた人がいるってこと?」

山岡が言いにくそうにして視線を落とした。

「まだ学生のクセにやるねぇ、三股」

霧島悠太が冷笑した。

「………………最低」

山岡の呟きが怖かった。

女はこういう事をスゴイ拘ると思う。
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