√セッテン
河田がこの場にいたら、多分所在なさげに小さくなるだろう。

「可能性は十分ある。このメールを見るとそういう話題は2ヶ月以上前からだ。森先輩と甘川充は、2ヶ月前には付き合ってたんだろう?」

山岡が静かに頷く。

「吉沢は……外見はバカっぽいですけど、一応マトモな奴ですよ。俺が知る限りは」

そういえば、吉沢アヤトの方は全く状況が掴めていない。

俺は頭の中に広げていた白紙のノートのページをめくり

吉沢アヤトと名前を書いて、堀口が語る吉沢像を逐一メモした。

聞いている限りでは、どこにでもいる高校生だ。

調理師を夢みている、なんてあたり、自分の考えがマトモにあるような気がする。

高校なんて、大体が何も考えず毎日過ごすだけで、夢を持って真剣に立ち向かっている奴なんて、そう多くない。

「なんで彼は、甘川、池谷と組んじゃったんだろうね」

「それは蔵持にも言えますよ、蔵持はおとなしい性格だったから、池谷や甘川みたいな活動的なヤツとは一線ひくはずだ」

「中学校からの縁っていうのは、何かしら深い影響を出すものだね」


俺は頭の中で情報を整理しながら彼ら4人の関係を纏めた。

一見、愛情だの友情だので、ひどく固い絆があるように思えた。






.....♪...♪...♪...♪♪




急に着メロが流れて、ドキっとする。

この場にいた、全員がそうだ。

山岡のカバンから漏れるその音に、焦って電話を取った。
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