√セッテン
敦子がキョトンとした顔でこちらを見てきた。

不機嫌になりそうな表情をしている。

話し中だから、と頭をポンポン、と叩くと、敦子は首をかしげて、台所へと歩いて行く。

喉でも渇いたのだろう。

『アルバイト情報誌の、OLIVE、オリーブ、七海の後ろに転がってたのはそれだ』

「オリーブ……知ってます」

『オリーブはね、週と地域で、表紙の色が変わるんだよ』

「じゃあ、あの緑の色が出ていた時期と場所を調べれば!」

『もちろんすぐ調べたよ、二条西高校より、立幸館高校方面、北宮の方で配布されてる。地方紙がこんなところで役に立つなんてね』

「明日は、北宮の方のライブハウス潰しましょう。全部」

『そうだね。堀口くんも近いから、すぐ行けるってさ』

「明日は……立幸館の校門前で待ち合わせをしましょう」

『うん、そうだね。そうしよう。時間は変わらないから。じゃ、おやすみ』

通話を終えると、敦子がテーブルに紅茶を置いた。

「霧島さん? なんか分ったって?」

「あぁ」

「また、なんか嬉しそうな顔してる……あ、潤も飲む?」

敦子が言って冷蔵庫を見た。

敦子が持ってきた紅茶は飲まないというのが分かり切っているのだろう。

カップを持って帰ってくると、敦子がやっと電話終わったね、と続けた。

「ふてくされるなよ、死の待ち受けの事で確認したんだから、別に女に掛けたワケでもなし……」

「そんなこと私の目の前でやったら、仕掛け技食らわすよ!」

敦子は言って紅茶を乱暴に飲んだ。
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