√セッテン
目の前に立っている少女は、にこりともしない。

ただ、俺の後ろを見ているみたいだ。

また、頭がチカっとする。


白い足元が揺れる。

俺を地面にねじ込むようにして踏んでいくと、背後に立った。

気配が止まる。

電車酔いをしたように、クラクラする。


中身が飛び散りそうだ。

目を

目をちゃんと開けるんだ。

落ち着け、俺はどうかしてる。


深く息を吸う。


吐き出すのに、こんなに苦しい思いをしたのは初めてかもしれない。

自分の息はひどく重く。

吐き出すたびに、頭痛がする。


寝過ぎた時の激痛より、ずっと重い。




……背後の蔵持七海が、歌を歌い出した。


なんだ

俺は、何を見てる?

夢だろ?

夢なのに

なんで

蔵持七海が、俺の知らない歌を歌ってる?
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