√セッテン
「いなかったよ。いたのは……フロアで倒れてた潤だけだよ」

敦子は言って、椅子から立った。

「……今は、もう大丈夫? 苦しくない?」

「やっぱ、なんか有害なガスかなんか出てたか」

そんな気がしたんだ。

……って、今の脳みそだから考えられる事だけど。

「うん……なんか体に良くないガスが、溜まっていたらしいの。後遺症とかは、2日3日くらいで、後に残ったりはしないって」

「私、真っ白な顔して倒れてる潤のこと見つけて、本当に寿命縮まった。抱き起こしても反応ないし、死んじゃったのかと思った」

大げさだとは思ったが

一歩間違えれば十分にありえた。

今、11時とか言ってたな。

最短とは言えないが、早く発見されたと言っていいだろう。

「でも、見つけてよかった。入り口がね、開いてたから、もしかしてって思って飛び込んだんだよ」

「あぁ、あれは俺が開けてた」

「そうだよね、あれは潤がやったんだよね」

敦子は言って微笑んだ。

「ありがとう、敦子。山岡」

礼を言うと、2人は花が咲くかのように

嬉しそうに笑った。

その後、医者が来て具合を聞かれた。

他に異常はないはずだった。

幻覚症状や頭痛について聞かれるが首を横に振る。

その様を敦子と山岡、そして堀口俊彦がじっと見ていた。

最終的に、血液検査の結果が明日の朝出るから今日はここにいろと言われて診察は終わる。
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