√セッテン
今日……深夜に山岡と堀口俊彦のカウントの表示は1に。

……死刑宣告が、現れる。

「幻聴は? 」

先ほど俺が医者に問われた言葉を、俺は2人に投げた。

森先輩も、渋谷景も、幻聴を聞いていた。

死の直前がピークのようだと考えていたが

幻聴自体は2日、3日前から聞こえてくると、森先輩も言っていた。

山岡も、堀口俊彦も、あと1日……

堀口俊彦は、山岡より遅く表示されたが

カウントとしてはあと1日……

敦子も、あと2日……

蔵持七海の歌がもう耳に響いているかもしれない。

「俺は今のところ幻聴はない」

視線は山岡へ集中した。

「私も……普通だよ、ただ、前に言ってた夢は相変わらず見るけど……そんな時は、潤のこと必死に考えてる」

「私もそうだよ! だから、潤がいなくなったって聞いた時には、死の待ち受けが私たちを本気で殺すつもりなんだって実感しちゃったよ」

山岡に次いで、敦子が言いながら俺をみてホッとした笑顔を投げかけた。

「2人の生命線は、黒沢か」

堀口俊彦は言いながら、小さく微笑んでみせた。

「それ当たり!」

「黒沢もそうだが……異常を感じたらすぐ誰かに言った方がいいな。森みたいなことになってからじゃ、手が終えない」

堀口俊彦の言葉に、敦子は少し視線を泳がせた。
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