√セッテン
「こんな、死の待ち受けとかがキッカケじゃなくてね、屋上で潤と会って、話して……それで仲良くなりたかったな」

山岡の話の意図が分って、俺はふ、と息を吐いた。

「いいんじゃない別に……話はじめたキッカケは最悪でも、俺と山岡の関係まで最悪な訳じゃないだろ」

薬を飲んだおかげか

それともオレンジジュースのおかげか、頭痛は少し和らいできた。

「……そうだね、うん……がんばる」

「さっき、幻聴はないけど、夢見るって言ってたよな。夢は、相変わらずか?」

「夢は……いつも同じだよ。暗い部屋の中でぐるぐる、ぐるぐる歩き回るだけ」

疲れ果て、泣いて、それで倒れるように眠ると、山岡は目を覚ますらしい。

体に悪い夢だ、本当に。

「死の待ち受けが山岡に夢を見せてるのかもな」

「続きは怖くて見たくない、寝るのが怖い」

そうやって、夢に出て山岡のことを弱らせていきたいのかもしれない

山岡は蔵持七海と接点はないし、繋がりがあるとしたら死の待ち受けだけだ。

死の待ち受けを接点にして、蔵持七海が山岡に夢という形で何か干渉をしてるとしか思えない。

「息が詰まるみたいで、苦しくて」

山岡の背後にある暗闇が、何かを思い出させた。

……分かりきってる。


蔵持七海だ。

今、蔵持七海のことを、考えようとして一瞬拒否した。


閉じこめられたあのライブハウスで見たものは

何だったんだろう。


なんでオレは、あそこで蔵持七海の幻なんかを見た?

……ライブハウスだから? あいつを探してたから?

山岡の見る夢と、同じで、俺と蔵持七海とのチャンネルが通じたんだろうか。

俺は死の待ち受けが表示されてない。

接点になるものとして考えられるのは、ライブハウスだけだ。
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