√セッテン
「……潤と一緒にいたかったよ」

俺の思考を遮断するように

山岡が残念そうな顔をして立ち上がった。

「もう、帰るね」

「山岡の悪夢に付き合ってあげられなくて残念だよ」

少し冗談を込めて言うと、山岡は苦笑した。

「今日は……寝たくないや夜通し」

「夜通し?」

「蔵持七海さんが見つかるように、祈ってる」

「……英単語の1つでも覚えた方がいいぞ」

俺の言葉に、山岡がまた笑った。

口元にあてる、小さな手がすごく新鮮に映った。

「帰り、タクシー使えよ? 」

「うん」

山岡が、ベッドの下に置いていたカバンを持ち上げる。

チェックの定期入れが、サブポケットからベッドに落ちた。

拾い上げるのは俺の方が早かった。

定期入れには二条西までのバスの定期と、プリクラが入っていた。

この前、河田と敦子、それに俺と撮ったヤツだ。

「今見ると確かにこの河田、傑作だよ」

「うん、私今でも見ると笑っちゃう。元気になれる」

「笑うと元気になれるよな」

「でもさ、こうやって写真になってる潤って、すごく優等生、って感じだよね」

「よく言われる……写真に写ってるイメージと本人のイメージ違う、って」

無愛想で昼寝魔人

2回目につく評定はそんなものが多い。
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