√セッテン
「そう。ついた? 」

『イェサ。山岡ちゃん、今寝てるよ。家族の人も、家に帰った後みたいだった』

「そ……ならよかったよ。で、さっきの話って? 手短に説明しろ」

『あー、こういうときに国語の要約スキルがあると便利なわけなー。世の中そういう風にできてるんだねぇ』

河田は冗談めいてそう言うと、一呼吸する。

『話は蔵持七海のこと、立幸館の3人と遊んだって言ってただろ』

河田はちゃんと本題に入ってきた。

『人見知り蔵持が、唯一仲がよかった池谷美保と、ケンカになったことがあったんだと。つい最近、5月のゴールデウィーク開けって言ってたかな』

「何の話で?」

『いや、内容までは聞いてないらしいけど、怒鳴りつけて、追いかけて、みたいな。修羅場?』

「……恋愛のモメ事じゃないのか?」

『ま、結論はね。高校生の揉め事なんて7割がそんなもんだろ? なー? 潤ちゃん』

「お前も懲りないヤツだな? 日本国籍失いたいのか?」

『そういうダークジョークはやめようぜ』

河田が言いたいのは、山岡と敦子の事だろう。

ちら、と敦子を見た。

敦子たちは、残りのライブハウスの位置を確認しながら地図をチェックしていた。

「で?」

『で、蔵持って池谷のお気になワケじゃん? 蔵持何やったの? って池谷に聞いたんだって。そしたら何て答えたと思う?』

一拍おいて、河田は続けた。

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