√セッテン
「カウントダウンは15日、そう考えるとムーントピックで死んだ3人のカウントが始まったのは、6月頭」

壁にかけられていた、月齢カレンダーに視線を投げる。

「6月以前に、死の待ち受けで死んだ人間はいたか?」

俺の言葉に、3人は視線を天井へ投げて口を閉じた。

「俺は……聞いてないな」

堀口俊彦は言ってイスに腰掛ける。

「俺は、景が死んだ時に初めてこの待ち受けの存在を知ったしな」

「私もないよ、やっぱりムーントピックで死んだ3人が一番はじめだよ」

「霧島さん、タナトスの館でそういった書込みはありませんでしたか?」

「ないね。人が死んだ、死の待ち受け、という話が上がってきたのは、6月中旬以降だ」

霧島悠太はハッキリと言い放つ。

「蔵持七海が死の待ち受けを解きはなったのは、6月……初旬、それで間違いないだろ。それ以前は、死の待ち受けで死んだヤツはいない。まだ、被害最小限で止められる範囲だ」

俺は一呼吸置いて、霧島悠太へ視線を投げる。

「霧島さん、蔵持七海のケータイは、今どこにあるかわかりますか? 」

「……七海と、一緒のはずだよ。キャリアはドコモで……」

何を聞いてくるのか、と霧島悠太は少し不思議そうな顔をして、俺を指さした。

「そう、君と、同じだよ」

「蔵持七海と、同じケータイ……? 」

堀口俊彦も少しキョトンとした。

俺が手にしていた、D902i

すでに世間では、新しい上位機種が出回っていて

俺のこのケータイは下位機種だった。

「偶然だね。色も同じ、そのパンダカラーだよ」

「不思議な接点もあるんだね」

「大量流通品なんだから、そういうことだってあるだろ」

敦子の言葉にそう言って、ケータイを握り直す。

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