√セッテン
同じケータイか

まぁ、少しは驚いたかな。

「それで、ケータイがどうしたんだ」

堀口俊彦の言葉に、俺は一度頷いた。

「蔵持七海がケータイを持っているなら、俺は、答はすべて、蔵持七海のケータイが知っているような気がします」

「……ケータイが、知ってる?」

「そうです。今も蔵持七海が持っているなら、そのケータイに池谷美保とのやりとりが残っているはず。そして……死の待ち受けも」

カシ、とケータイが無機質な音を立ててスライドする。

「蔵持七海を見つけましょう。彼女は今でも待ってます」


「ねぇ」

敦子が急に声を上げた。

「霧島さん、蔵持さんのアドレスとか、知ってるんだよね? 」

「モチロン、知っているよ」

「失踪してから、メールも電話もしてるよね。まだ、電話は『生きてる』の?」

「契約解除されてないか、ってことだろ?」

堀口俊彦は言って、霧島悠太を見た。

「されていないよ。唯一連絡が取れる手段だから、まだ契約は続いてる。もし七海が連絡を取れる状態になったとき、ケータイが使えなかったら助けに行けない」

霧島悠太の言葉には、深い感慨が込められていた。

何があってもこの人は、蔵持七海の生存と潔白を信じてる。

「捜査令状さえ出せれば、通信会社にメールや通話の送信履歴を提出してもらえるんだけどな」

堀口俊彦の言葉に、全員が苦笑した。

「その機種じゃ、GPS機能もまだ付いてないよな?」

そんな機能はドコモにはなかった。

「そういえば、潤、千恵は無事に帰ったんだよね?」

「山岡は、さっき……蔵持に襲われた」

「え? ちょ、ちょっと!」

「あれは蔵持七海だった」

霧島悠太は、真剣な表情で俺の瞳を見つめてきた。
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