√セッテン
『七海、必ず君を迎えに行くから』

『お願いだ、無事でいてくれ』

『七海、今どこにいる? 返信待ってる』


霧島悠太からのメールは、胸を締め付けられるようだった。

画面から、霧島悠太へ視線を移す。

ルームミラーに写った霧島悠太の色素の薄い瞳を見つめる。



蔵持七海のことを愛していたんだ。

……とても。



そう思うと、とても切なかった。

助けられなかった彼の心情は、呑気に車の運転をしているどころじゃないはず。

それでもこうやって運転をしているのは、俺たちへの誠意に違いない。

アムリタで流していた霧島悠太の涙を思い出して、胸がチクチクと痛んだ。


吉沢アヤトのメールが次いで多かったが、霧島悠太と同様だった。

蔵持七海の居場所を問い、懸命に探している風だ。


新着のメールの下

蔵持七海が圏外に入る前に受信したメールが目に付いた。


差出人は、池谷美保。

『今日、ミーツ用のお菓子買いに行こ、話もあるし、いいよね?』

お菓子?

ホールに散らかっていたあれのことか?

さらにその前に受信したメールを開く。

差出人は、吉沢アヤト
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