√セッテン
「ねぇ、潤と私の接点は、潤からつなげてくれたんだよ」

鋭い氷の刃のようだった√の女の声が急に柔らかくなった。

「誰も見つけてくれなかった……近づこうとしなかった"わたし"に、潤は死の待ち受けもないのに近づいてきてくれた」

√の女は、グレンチェッカーで聞いたあの歌を歌い始めた。


「だから、会いたくて、会いたくてしょうがなかったんだよ、潤」


誰か分かる?分かるでしょ?

√の女が歌う。


そう、あのライブハウスでもそう歌っていた。



「たどり着ければ……見せて、あげるって」


それは、お前のことだったのか……!?


そう言われて行くと思ったのだろうか、俺はむしろ後退した。

お前はまた人を殺すのか?

最後の着信と発信で広がる死の待ち受け

大好きな人に、殺される可能性を秘めた呪い

実際、蔵持七海は、大切にしていた3人に殺された。

その思いを、√の女は忠実に再現しようとしているのか。

「潤って、軽いのね、この前私の歌を聴いて発狂しちゃった男の人は重くてね……」

√の女は楽しそうに話をはじめたが、最後の方はフェードアウトして聞こえなかった。

「聞いてる?」

声は耳元でした。

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