√セッテン
「君は、七海、なの、か」
霧島悠太は、状況を理解できないまま、その言葉を受けて、乾いた唇で呟く。
「そう、だけどゆうの知らない、七海。……あなたの大切な妹」
「……妹?」
今、妹、と言ったのか?
霧島悠太もまるで言われたくなかったことを言われたようなそんな顔をした。
「そうよ、知らなかったの? ゆぅはわたしの、異母兄妹」
√の女は懐かしいものを見るようにして、目を細めてから、霧島悠太を見た。
「行方不明になった"私"を探す中で死んだとばっかり思ってたわ……あなたが死んだ原因が、兄だったからだと、"私"の側にいたせいだと思って。自分のために死んでしまったと、嘆いたのを覚えてる」
なんで、兄だから死ぬんだ?
疑問を浮かべたが√の女は答えなかった。
「君はそうやって、生きているんだから、僕は死なない。そうじゃないのか」
一歩、霧島悠太は√の女に近づく。
何か、懐かしいものを探り当てたような目をして。
霧島悠太の言葉を断ち切るようにして√の女は冷たく声をあげた。
「そうね、ゆぅが生きてるんだから、わたしも生きているはずよね。そういう呪いなんだから」
「呪い……?」
そこに、また違った呪いが存在するのか、俺がうめくと√の女は笑った。
「そうよ、潤。ゆぅはね、私のために苦しんで死んでいく呪いをママにかけられた。ママはゆぅたち家族を恨んでいたから、とっておきの呪いを浴びせてみせた」
「七海、そんな呪いなんて僕は信じていない」
「傑作よね、ゆぅは苦しんでる。"私"を愛して本当に苦しんでる。ママが望んだ苦しみがどんな苦しみかは知らないけれど、呪いはたしかに成就してる」
あはは、と壊れた笑いをして、淀んだガラスの瞳は霧島を見つめた。
「あなたがそんなにがんばっているのは、本当にあなたの意思なのかしら。呪いに勝てると思ってるの? あなたの愛が、呪いに打ち勝てるとそう信じてるの?」
霧島悠太は、状況を理解できないまま、その言葉を受けて、乾いた唇で呟く。
「そう、だけどゆうの知らない、七海。……あなたの大切な妹」
「……妹?」
今、妹、と言ったのか?
霧島悠太もまるで言われたくなかったことを言われたようなそんな顔をした。
「そうよ、知らなかったの? ゆぅはわたしの、異母兄妹」
√の女は懐かしいものを見るようにして、目を細めてから、霧島悠太を見た。
「行方不明になった"私"を探す中で死んだとばっかり思ってたわ……あなたが死んだ原因が、兄だったからだと、"私"の側にいたせいだと思って。自分のために死んでしまったと、嘆いたのを覚えてる」
なんで、兄だから死ぬんだ?
疑問を浮かべたが√の女は答えなかった。
「君はそうやって、生きているんだから、僕は死なない。そうじゃないのか」
一歩、霧島悠太は√の女に近づく。
何か、懐かしいものを探り当てたような目をして。
霧島悠太の言葉を断ち切るようにして√の女は冷たく声をあげた。
「そうね、ゆぅが生きてるんだから、わたしも生きているはずよね。そういう呪いなんだから」
「呪い……?」
そこに、また違った呪いが存在するのか、俺がうめくと√の女は笑った。
「そうよ、潤。ゆぅはね、私のために苦しんで死んでいく呪いをママにかけられた。ママはゆぅたち家族を恨んでいたから、とっておきの呪いを浴びせてみせた」
「七海、そんな呪いなんて僕は信じていない」
「傑作よね、ゆぅは苦しんでる。"私"を愛して本当に苦しんでる。ママが望んだ苦しみがどんな苦しみかは知らないけれど、呪いはたしかに成就してる」
あはは、と壊れた笑いをして、淀んだガラスの瞳は霧島を見つめた。
「あなたがそんなにがんばっているのは、本当にあなたの意思なのかしら。呪いに勝てると思ってるの? あなたの愛が、呪いに打ち勝てるとそう信じてるの?」