√セッテン
カコン、と音をたてて山岡のケータイをテーブルに戻す。
そのとなりのケータイは、有名なネズミのマスコットがついていた。
敦子も死んだ。
俺は救えなかった。
敦子は誰の声も届かなくなった。
何度ケータイを奪おうとしても
『潤と私のプリクラが貼ってあるの、触らないで』
何度声をかけても
『近づかないで! こっちに来ないで!潤が助けてくれる、あんたなんかに負けない』
誰の言葉も受け付けようとしなかった。
ただ、敦子は、最期の最期まで俺に電話をしないと叫び続けた。
「どこにいても、敦子の傍には潤がいてくれるのね。敦子は信じてるのね、でも本当に死ぬ瞬間まで信じていられたのかしら」
星型の照明に首を吊って揺れる敦子の姿が
網膜に焼き付けて、声もなく膝をついた。
敦子のテーブルの上には俺が敦子にあげたオープンハートのネックレスが光っていた。
敦子の最期の発信は、蔵持七海で、最期の着信は敦子の友達だった。
「敦子」
自分の声が聞こえない。
暗い部屋の中で、水槽だけが青白く輝いている。
「山岡」
花火を一緒に見るって約束したのに、見てるのは俺だけだった。
そのとなりのケータイは、有名なネズミのマスコットがついていた。
敦子も死んだ。
俺は救えなかった。
敦子は誰の声も届かなくなった。
何度ケータイを奪おうとしても
『潤と私のプリクラが貼ってあるの、触らないで』
何度声をかけても
『近づかないで! こっちに来ないで!潤が助けてくれる、あんたなんかに負けない』
誰の言葉も受け付けようとしなかった。
ただ、敦子は、最期の最期まで俺に電話をしないと叫び続けた。
「どこにいても、敦子の傍には潤がいてくれるのね。敦子は信じてるのね、でも本当に死ぬ瞬間まで信じていられたのかしら」
星型の照明に首を吊って揺れる敦子の姿が
網膜に焼き付けて、声もなく膝をついた。
敦子のテーブルの上には俺が敦子にあげたオープンハートのネックレスが光っていた。
敦子の最期の発信は、蔵持七海で、最期の着信は敦子の友達だった。
「敦子」
自分の声が聞こえない。
暗い部屋の中で、水槽だけが青白く輝いている。
「山岡」
花火を一緒に見るって約束したのに、見てるのは俺だけだった。