√セッテン
どうやっても伝わらない思いを、どうすれば伝わるのかと

そんな思いでこぼれた彼の言葉は、胸が軋んだ。

「愛してるよ七海。呪いなんて関係ない、君が死んでしまっていても、君は僕の中で生きてる」

信じて、もう、信じられないくらいに君は傷ついて、絶望してしまっているのかもしれないけれど


霧島悠太はそう言って、√の女の瞳の奥を捉えた。


「もう絶対君に、人を殺させたりはしない」


霧島悠太の、嗚咽交じりの声が耳を激しく叩いた。





「遅くなってしまってごめんね、助けに来たよ七海」






√の女の手から、力が抜けたのか


霧島悠太が肩を掴んだ勢いか


奇妙な円を描いて√の女の手から、山岡のケータイが離れた。





俺の後ろは、階下、昇降口……


円を描いて、ケータイが落ちていく。



しまった!
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