√セッテン
「とりあえず2階の2人には時報に発信してもらったよ」

そうだな、それが懸命だ。

「後は誰からも着信こないようにして、最後に公衆電話から2人の電話に発信すれば……2人は助かるな?」

「うん」

敦子は少しほっとした顔をする。

「……まぁ、それで飛び火は抑えられたとしても、カウントを止める方法がまだ見つからない、それに他に表示されてる奴らを把握して対策をしてもらわないと、手が付けられないとこまで広がるし……」

考えていると、自分たちの対策スピードより、圧倒的に死の待ち受けの頒布スピードの方が早く感じた。

死人に口なし、だ。

死んだ人たちの最後の発着信はもう、これ以上俺たちには追えない。

「やばいな」

俺は無意識にそう呟いて、白いカレーにスプーンを差し込んだ。

「……止めよう、絶対止めなきゃ、これ、やばいよ」

敦子の声もまだ少し震えていた。


「なっ なにこれ……!」

階段下についたとき、敦子の部屋から声がした。

山岡の声だ。

俺と敦子は顔を見合わせると、押しのけ合うように階段を駆け上がった。

「山岡!」

ドアを割るようにして開けると、森先輩と山岡が驚いてこちらを見た。

「どうした?」

「今、森先輩のケータイの画面見たら……」

森先輩は、黙り込んでケータイの待ち受け画面を手で握りしめている。

「先輩、見せて」

敦子が言うが、森先輩は首を横へ振った。
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