√セッテン
河田はコピー機に俺のノートを載せると、設定画面をいじりながら話を始めた。

「そんで、池谷美保のことだけど、ムーントピックで死んだ3人は中学からの仲良しコンビだったらしい」

河田は思い出すように言いながらノートのコピーを確認する。

「甘川、吉沢、池谷、で、もうひとり。蔵持って4人のコンビな」

「くらもち……?」

初めて聞いた名前だった。

「蔵持は立幸館の3年、2ヶ月半くらい前に行方不明になったまま。ま、だからムーントピックで死んではいない。意外とこれも死の待ち受けで死んでる可能性アリだよな」

河田はページをめくってコピーを続ける。

「で、池谷美保なぁ、キレイ系お姉ギャルらしいんだけど、性格キッツかったらしいぜ。ギャルのサークルの総代とかもやってたらしいから、行動派っていうの? まぁいるじゃん、そういう目立ち系のギャル」

お前も似たようなもんだけどな

ちらっと外からコピー機の前の河田に視線を投げる。

「だからさぁ、つまり、ウリとかやってたんじゃね? そんでそういうもつれでやられちゃったんだよ、つーのが通説らしい。ほんとに死の待ち受けで死んだかどうかも怪しいって」

「……ウリね」

「で、その池谷の後輩が、山岸さんなわけよ」

その関係が接点になって、山岸絵里子のケータイに死の待ち受けが表示されたのか。

甘川充は最後の発信も着信も分かっているから

あと考えられるルートとしたら吉沢アヤトから……ということだな。

「山岸ちゃんも沙織もそのギャルサー入ってたらしいねー。そこでじゃね? 色々人間関係できちゃったのって」

仲のいい友達が一緒なら、サークルにもなじみ易い。

山岸絵里子につれられて、長谷川沙織がサークルに入り、池谷の仲間の吉沢アヤトや甘川充と知り合う経路……安易に想像がつく。

「まーそんなとこかなぁ、つかさぁ、黒沢、あんだけ寝てるのに相変わらずマメにノート書き込んでるよな」

「予習分がそのまま授業のノートになってるだけ」

振り向きもせずに言う。

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